事前の情報無しで映画を観るのは丁寧で贅沢な体験だと思う

宣伝しないというアプローチで話題の「君たちはどう生きるか」を観てきた。そもそも巷で話題とはどういうことか?と改めて考え直す機会になったのではないだろうか。Twitter改めXで話題を測ることは、少なくとも主流ではなくなったと思う。

事前に一話見た状態でオンエアを待つのがTVアニメの宣伝の定番ではあったけれど

宣伝しないというのは不安である。作品がどう評価される、つまりどうツイートされるのかが不安でしょうがない訳だけれど。だからCMや特報などでもうこれでもか!とカッコイイ場面を出しまくり、キャストに説明させまくり、監督もメディア露出してしゃべりまくり、なんていう宣伝を組むのだけれど。

今回二つの事を思った。

もはやツイートに信頼性は無い

ツイートはそういうものという空気が生まれていると思う。匿名掲示板の誹謗中傷の書き込みとほぼ同程度の信頼度しかない。ここ数年でガクッと下がった。

そしてなんならこのまま、このまま利用者も減りそうだし、少なくとも主流で皆やっている公共的なサービスという意味合いは消滅していると思う。

事前情報無しで映画を観るのは丁寧で贅沢

監督、スタジオ、こんな作品、というようなことはもちろんわかっているが、出演者も時代背景も、主題歌も何にも知らない状態で映画館でみて、だんだん引き込まれていく、というのはすごく贅沢な体験だった。

スラムダンクの時も思ったけれど、これまではアニメ映画(アニメ映画は特にTwitterで誹謗中傷する人と相性がいいから。)ネットで事前にファンがクレームを書いて炎上したりすると、なんとなくもうお腹いっぱいと思ってしまうのだが、情報をギリギリ後ろにすることでスラムダンクはそれを抑え込めたし、いざ公開されれば内容を見て貰えばわかる作品の素晴らしさで大ヒットしていた。

今回の「君たちはどう生きるか」はそれを上回る事前情報の無し加減だったのだけれど、本当に主題歌を誰が歌ってるのかも知らないで見にいけたのですごく良かった。

話題のスポットに行く、情報を消化しにいく、Twitterの評判を確かめにいく、というような他人の評価と切り離せないで、消費行動をおこなっていることが多いと思う。

しっかりと目の前にある作品を味わう事が出来るこの手法は今後もきっと色々形を変えて、ありうると思った。

ビッグタイトルに限らず、情報統制期間で素直に作品を味わう、それから見た人の評判や、作り手の思いなどを後から出していって、作品コミュニティを盛り上げていく後半期間など宣伝を二部に分けたりするのは定番化するかもしれないと思った。

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