夏の日差しを燦々と受け
水が撒かれたバラの庭は、
花や葉がキラキラと反射している。
庭の真ん中に石畳に囲まれたプールがあり
水面は、より一層とキラキラと輝いていた。
均は早々に水着に着替え、
ソワソワと庭の端で、瞳見を待ちながら
プールを眺めていた。
プールサイドで
日差しがあまり当たらなそうな
パラソルの下のビーチソファを選んで、
腰掛けた。
瞳見はきっと日焼けを嫌がるだろう、
と思ったからである。
今日はじめて会った素敵な女性と
平日のプールに来るなんて、
考えられないことだけれど、
それも高雄だと思えば当たり前だと
思えてきた。
瞳見が自分のことを、
うがっている様子はほとんどない、
もはや均も、自分が高雄になったかのように
錯覚していた。
キラキラと輝くバラの間を
白い石畳の小道が更衣室の小屋から
庭のプールまで繋がっている。
その花道を、
水着の上から薄いガウンを羽織った
瞳見が歩いてきた。
綺麗だ、と均は惚けてみている。
「すごい間が抜けた
顔してるけど」
と瞳見は笑った。
こういう時、
なんて言えばいいのか、
と均は思っていたが
「すごい、
綺麗ですよ。」
と、
敬語になってしまったけれど
素直にいうことができた。
「ありがとう」
と瞳見も
素直に答えたみたいだった。
2人はビーチソファに
バスタオルを敷いて
ふちに腰掛けた。
「綺麗だね」
瞳見がサングラスを
外してバラを見ながらいう。
「庭も瞳見さんも綺麗ですよ」
と均は返したが、
「ちょっとおまけみたいな言い方ね。」
瞳見に笑いながら続ける。
「都会の真ん中にこんな静かな庭なんて、
信じられないね」
「誰もいないし、
ちょっと不思議な
庭だね。静かすぎるような気がする。
こんなもんなのかなー」
と均は周りを見回した。
瞳見は立ち上がり
「暑いから、ちょっと水に入ってみようかな」
と薄いガウンを脱いで、
ソファにかけた。
瞳見の白い手足が
陽の光の中で
キラキラと輝いているようで
眩しくて、
均は思わず目を伏せた。
編集後記
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