「あいさつ」はあなたの結界

あいさつの重要性を認識している人は多い。

または「あいさつだけはしっかりしなさい」としつけられた人もたくさんいるでしょう。

あいさつは大切です。

しっかりやると自分に良いことがあります。

「でもそれって何でなんだろう?」

と当たり前過ぎて、

考える機会がなかったので今日はそんな

「あいさつ」「挨拶」について考えてみます。

「挨拶」は仏教用語「一挨一拶」から派生

一挨一拶(いちあいいちさつ)とは、

禅僧の師匠が弟子に対して押し問答をして、

修行や悟りの深さを推し量ることを意味します。

挨(たた)く、これは何かを問うて聞く、推し量るという事かと思います。

拶(ひら)く、これは悟りを拶いているかを見ることでしょう。

つまり、相手のことを見、問うて、推し量る役割があります。

挨拶は、相手のためでもあるけれど、

自分の身を守るためにしている、相手がどんな人物か、

これからコミュニケーションをとって大丈夫な人物かを推し量るために

投げかける行為なのです。

もし挨拶におざなりな返事が返ってきたら?

相手の悟りはまだまだ浅いことがわかります。

そういった人物と自分がどう付き合うか。

そういった人物から自分をどう守るか、それを考えることができます。

お互いに挨拶をすることで、

お互いの精神的な深さを推し量りあい、

適正な距離を見定めることができるのです。

あいさつの基本は敵意がないことの証明

世界中で古来より「あいさつ」は

お互いに敵意がないことを証明する行為でもあります。

兜を脱いで頭をさらしてお辞儀をするのも、

戦い意思がない、武装解除のメッセージです。

握手する文化圏も、手に武器を持っていませんよ、

という意思表示です。

あいさつは

お互いの力量をはかりつつ、

同時に、敵意がないというスタンスを表明し、

親しくなるか、

これ以上入ってくれるな、と線引きするか、

そういったお互いの距離の表明でもあります。

明瞭な挨拶は、邪(よこしま)は近づけない

声をかけられたり、あいさつをされると犯罪を犯すのに躊躇する、

この心理は誰しもよくわかるでしょう。

その心理を利用して店員が挨拶を徹底することで、

店内の万引きの抑制効果もあるそうです。頷けますね。

同じことが自分自身のあいさつにも言えます。

はっきりと明瞭なあいさつは、

自分と相手との間に清涼な結界を張る行為です。

相手がその結界に入ってくるためには

邪を排して相手もまた同じように結界を張る、

つまり挨拶を返す必要があります。

挨拶することは、お互いを邪から守る行為でもあるのです。

清涼な挨拶の結界を張って今日を気持ち良く生きていきましょう。